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大本芸術への声

 戦前と戦中、2度にわたる弾圧を受け、現代の宗教・思想史に深く名が刻まれる出口王仁三郎聖師は芸術家としても知られています。
「芸術は宗教の母なり」という独自の芸術観を主張し、その驚くべきエネルギーと独創性は膨大な数の陶芸作品や短歌、書画を生みました。
とりわけ陶芸に傾倒し、晩年の1年余、自身の〝いのち〟を吹き込むかのように約3,000点余の楽焼を制作。それらの作品は型にとらわれない奔放さと鮮やかな色彩から、近代絵画の巨匠・ルノアールとも比べられます。
陶芸評論家の加藤義一郎は、これら晩年の楽焼を輝く盌—「耀盌(ようわん)」と名付けました。

「大本の王仁三郎師、すみこ刀自、直日様と、大本一門にはずばぬけた大物がそろっている。これは君ィ、大変な出来事だよ」
この言葉は、稀代の万能芸術家・北大路魯山人(きたおおじ・ろさんじん/1883年3月23日〜 1959年12月21日。日本の芸術家。篆刻家・画家・陶芸家・書道家・漆芸家・料理家・美食家などの様々な顔を持っていた)の口癖でした。
魯山人は、王仁三郎の妻・すみこ(二代教主)の手紙を初見したときの驚きを「その字たるや魅力将軍太閤様ばりで実に天真爛漫、スケールが大きくて自由自在」と記し、その書を書斎に張りめぐらし、座右から離しませんでした。
哲学者・谷川徹三はこの書の中に独自の美しさを見いだし、「日本書道史の上から見ても第一級の書」と最大級の賛辞を贈りました。

王仁三郎とすみこの長女・直日(三代教主)の作品も多くの人を魅了し、小山冨士夫など、直日のもとを慕い訪ねた文化人は少なくありません。その一人、松本清張は「近ごろ技巧に走った陶芸の中で直日氏のそれは依然として、自然の精神をおおらかにうたいあげている。歌でいえば万葉集にも当たろうか。素朴で、自然な情感が、高い調べで力強く表現されている。長い間忘れていた故郷をここに見つけて、そのやすらぎに陶酔する思いである」と記しています。

直日の夫・日出麿(三代教主補)は大本弾圧事件で、王仁三郎の後継者として最も過酷な取り調べを受けました。事件後の後半生は家族との交わりを一切断ち、孤高の境地に身を置きました。その書は、高潔にして簡素。枯淡、清冽、至純、幽玄などといった月並みな形容をはるかに越えた精神美の輝きとも、あるいは別天地の〝神仙の境〟から到来する輝きとも識者から評されています。

王仁三郎は美によって神を感得する道を提唱した
―木村重信(大阪大学名誉教授。国立国際美術館長、兵庫県立美術館長などを歴任)

王仁三郎は『芸術は宗教の母なり』と規定して、独自の宗教・芸術一元論を説き、美によって神を感得する道を提唱した。
古くから宗教を芸術の母体と考える思想は、東洋にも西洋にもあった。そのような考えに支えられて、仏画や神像、寺院や聖堂などの厖大な宗教芸術がつくられた。
ところが、王仁三郎の考えはその逆である。
…王仁三郎は自然の産出原理と芸術の創造原理との同一性を説く。彼の作品に『天国』と名づけられた茶盌が多くあるが、これは意味深長である。

大本と芸術(京都新聞連載コラム)

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