カグラバチ』は、外薗健による日本漫画。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて、2023年42号から連載中[1]。第14話の扉ページにある漢字での表記は「神楽鉢」[3]。2024年9月29日時点でデジタル版を含む1〜4巻の累計発行部数は90万部を突破している[4]

カグラバチ
ジャンル 少年漫画
剣劇[独自研究?]
アクション[1]
ファンタジー[2]
漫画
作者 外薗健
出版社 集英社
掲載誌 週刊少年ジャンプ
レーベル ジャンプ コミックス
発表号 2023年42号 -
発表期間 2023年9月19日[1] -
巻数 既刊4巻(2024年10月4日現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

2023年9月11日発売の『週刊少年ジャンプ』41号より、「JUMP NEXTWAVE 新連載3連弾」を開始[5]。本作はその2作目として[6]、同年42号より連載を開始[1]。連載開始時にはPVを公開[1]。2024年2月3日より、単行本第1巻の発売を記念してボイスコミックを公開[7]。第1巻には堀越耕平[8]、2巻にはVaundy[9]、3巻には岸本斉史[10]、それぞれ帯にコメントを寄せている。

2024年8月28日、「次にくるマンガ大賞 2024」コミックス部門にて1位を獲得[11]

あらすじ

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六平 チヒロは3年前のある日、憧れの存在であった刀匠の父を3人の妖術師に殺される。毘灼によって奪われた父の妖刀を取り戻すために妖術師となり、父の古くからの知人である柴らと行動する。

始まり(1話 - 2話)

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18年前、日本では斉廷戦争と呼ばれる大きな戦争があり、六平国重が作った妖刀が勝利に大きく貢献した。戦後、国重は結界で守られた隠れ家に妖刀を隠した。またチヒロは戦争終結の前後に生まれ、国重と二人で暮らしながら刀匠を目指していた。3年前、チヒロが15歳のときに、隠れ家の結界が破られ、妖術師集団「毘灼」の手の者が侵入して国重を殺害し妖刀を奪った。チヒロは突然父を失ったことで、妖刀をめぐる人々の思わく、父の刀への思いを実感し、奪われた妖刀を追って戦うことを決意する。その後チヒロは3年間で戦闘技術を磨きあげ、国重の旧友の柴とともに毘灼の情報を探りつつ、反政府的な妖術師とつながる各地のヤクザを殺してまわっていた。

vs. 双城編(3話 - 18話)

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ある日、東京に一度戻った際、情報屋のヒナオから妖刀の目撃者らしき人物がいたと連絡があり、二人はその人物に会いに行く。その目撃者とは「シャル」と名乗る孤児であった。シャルは「悪者から守ってほしい」と言い、真偽を疑いつつも詳細を訪ねようとするチヒロだったが、二人のもとに次々に妖術師が襲来する。柴や薊の助けもあり、なんとかヒナオの店「喫茶ハルハル」に生きて帰ってきたが、妖刀「刳雲」を所有する双城厳一にでくわしてしまう。そうして、シャルと刳雲をめぐるチヒロと双城の争いが幕を開けた。

楽座市編 (19話 - 44話)

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双城を殺しシャルを取り返したチヒロは引き続き妖刀と毘灼を追っていた。楽座市という闇の競売に出品される妖刀「真打」を回収しようとするチヒロは、楽座市を取り仕切る漣家に接触を試みる。その活動の中で漣家を追放されたハクリと協力したり、神奈備所属の緋雪に襲われたりしながらも、漣家当主の京羅を奇襲するが失敗に終わるどころかハクリの命と引き換えに淵天を奪われてしまう。しかし、淵天を利用し漣家固有の「蔵の妖術」の謎を解き明かしつつ、楽座市当日11月8日、チヒロらは淵天と真打を取り返し楽座市を終わらせるべく潜入を開始する。

所有者暗殺編(45話 - )

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真打を再封印するため真打を神奈備に預けることにしたチヒロは、神奈備に真打を悪用されないために自らも神奈備の戦力になることを決意する。その後、神奈備本部にて尋問を受けるチヒロだったが、その最中に妖刀所有者を匿うための神奈備の専有地である慚箱のひとつ、国獄温泉が毘灼の襲撃によって壊滅したとの報告を受ける。国獄温泉にて匿われていた妖刀の契約者である漆羽は脱出して逃走しており、神奈備からの信頼を得るべくチヒロとハクリは彼を護衛することになる。 刺客を倒して漆羽と合流することができたチヒロとハクリだったが、毘灼の一人である昼彦がチヒロ達の前に現れ、チヒロをハクリと漆羽から引き離してしまうが・・・。

登場人物

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声の項はボイスコミックの担当声優。

主要人物

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六平 千鉱(ろくひら チヒロ)
声 - 石毛翔弥[7]
本作の主人公[6]。18歳。一人称は「俺」。妖刀「淵天」の所有者。刀匠の父である国重を尊敬し自らも刀匠を志していたが、毘灼の襲撃に遭い国重を殺され妖刀を奪われたことで、国重の信念を継ぎ妖刀を悪者から取り返すことを決意する。左のこめかみから頬にかけて傷がある。性格は冷静で真面目。感情が顔に出にくく、常に無表情気味。生活力のない国重に代わって家事をしていた。得意料理は卵焼き。
六平 国重(ろくひら くにしげ)
声 - 藤巻健太
チヒロの父。日本一の刀匠。特別な技法にて妖刀を製造する技術を持ち、六本の妖刀を造り斉廷戦争を勝利に導いたことで英雄と呼ばれるようになった。戦後、毘灼の妖術師に狙われ命を落とす。その際チヒロに七本目の妖刀「淵天」を託した。生活力がなく、家事はチヒロに任せっきり。
柴 登吾(しば とうご)
声 - 福島潤[7]
元神奈備の妖術師。国重や薊とは古くからの知り合いでチヒロとも交流がある。国重亡き後はチヒロと共に行動し、復讐を手伝っている。瞬間移動できる妖術を持っているが、ただの瞬間移動ではない様子。
漣 伯理(さざなみ ハクリ)
闇の競売である楽座市を約200年に渡って取り仕切る一族・漣家の少年。エリート妖術師を数多く輩出してきた漣家に生まれながら妖術を扱えず、兄からは愛と暴力を、弟からは蔑みの目を日々向けられており、楽座市の邪魔をしたために漣家を追放された過去を持つ。チヒロを「侍」と呼び、慕っている。

神奈備

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香刈 緋雪(かがり ひゆき)
神奈備の最高戦力。「個」で妖刀に匹敵する妖術「炎骨」を持つ。炎骨のことを陸郎と呼ぶ。どんな信念があろうが個人で妖刀を振るうなら結局それは利己的なものであり、妖刀は神奈備によって管理されるべきという考えを持ち、チヒロと対立する。
美原 多福(みはら たふく)
神奈備所属の妖術師。力士の恰好をしている。基本的に緋雪とタッグを組んで動き、暴走しがちな緋雪をサポートする役目。
薊(あざみ)
神奈備所属の妖術師。階級は大佐。国重や柴とは古くからの知り合い。前髪で片目を隠している。妖術なしで敵を退けるほどの力を持つ。

用語解説

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妖術師
刀の保持が認められている社会で治安が悪化しているので自衛の手段としている存在。暴力団などに雇われるものと国に雇われている神奈備がいる。
妖刀
国重によって開発された特別な刀。斉延戦争中に6本開発しており、妖刀六工と呼ばれている。 戦争を早めに終わらせたと言われている。戦後国重の工房に保管されていたが、毘灼の妖術師によって全て奪われる。その後チヒロが新たな妖刀を生成したので7本ある。
毘灼(ひしゃく)
妖術師組織。暴力団などの後ろ盾となり、妖刀6本を奪う。
ハルハル
東京にある喫茶店。ヒナオが働いており、チヒロ・柴ら妖術師らの交流の場となっている。
玄力(げんりょく)
妖術を構成する生命エネルギーで妖刀を持つことでさらにパワーアップさせることが出来る。全人間に眠っている。
斉廷戦争(せいていせんそう)
18年前、日本に襲来した"敵"との間に起こった戦争。日本中の妖術師の集結を以ってしても劣勢が長く続いたが、国重の生み出した6本の妖刀により日本が勝利した。

雫天石(だてんせき)

 妖刀の原料であり、玄力を込めると人体では保持できない高密度な玄力が流れ込む。 

淵天(えんてん)
斉廷戦争の後に国重が六妖刀とは別に作った妖刀。確認されている中では七つ目の妖刀であるが不明。国重暗殺の際に何らかの経緯で毘灼には奪取されず、生き残った千鉱は国重暗殺を機に、淵天を用いて戦う妖術師となる。 能力は三つあり、斬撃を飛ばす『涅』 攻撃を吸収して放出する『猩』 身体強化される『錦』

作風

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OKAMOTO'Sのオカモトショウによると、本作は「“刀”がポイントになっていて、妖術的な技を使う」点においては『BLEACH』に近く、ダークヒーロー系の作品である[2]。「コマ割りはわりと大きめで、細かい説明がなくてもしっかりストーリーが動いていく」よう描かれており、絵やデフォルメ表現も上手である[2]。刀を中心として、妖術のほか、「日本古来のファンタジーの要素」を盛りこんだ世界観となっている[2]

東京が描かれている場面では、高層ビルやタワーのデザインがおしゃれに描かれている[2]。オカモトは日常のシーンとバトルシーンの緩急のバランスがよく、それでいて「違和感なくストーリーが進んでいく」点が本作の良さであると語っている[2]

反響

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本作は作者の外薗による初の長編での連載作品である[6]。しかし第1話が掲載された時点の2023年9月19日、日本中国韓国を除いて世界中で配信されている集英社のアプリ「Manga Plus」でのランキングで、10位入りを果たす[6]。これは『ブラッククローバー』と『SPY×FAMILY』を抑えてのものであった[6]。24日時点では5位に入り、『僕のヒーローアカデミア』を抑えている[6]

原因のひとつとして、本作は第1話が掲載される42号が発売される19日より前に、14日時点でインターネット上に内容がリークしていたことが挙げられる[6]。その時点でファンアートや既存の漫画と比較する画像などがそれまでの新連載と比較すると多く投稿されていた[6]。さらに、本作はインターネットミームの画像が多く制作された[6]。主人公のチヒロの画像を使用し、「ジャンプ史上最高の漫画」と投稿されたのをはじめとして、『ONE PIECE』のモンキー・D・ルフィなど、ジャンプの人気作品の主人公とチヒロのコラ画像が制作され、「カグラバチ最高!」と投稿された[6]。編集者のアナイスによると、本作は「もともと日本刀を使ったり、妖術が登場したりと昨今のジャンプの人気作品の特性を掴んでいる作品なので海外ファンから注目されるのも自然に感じる」が、ファンがアニメ化を前提としたオフィシャルサウンドトラックを投稿したタイミングで、ミームに拍車がかかっている[6]。これをきっかけとして、自作アニメやチヒロ役の声を自身で吹き替えている動画、PlayStation 4のソフトに本作の写真を入れるものなどが投稿された[6]。これらが現実で起きた既成事実かのように投稿され、それに過剰に反応があったことにより、本作のミームは現象化している[6]。クソコラや事実無根の情報もあったが、本作の「人気を押し上げる形」となった[6]。その後、ミームに嫌気がさした人から、ミームに対して批判的な意見も挙がっている[6]

書誌情報

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  • 外薗健『カグラバチ』 集英社〈ジャンプ コミックス〉、既刊4巻(2024年10月4日現在)
    1. 「すべきこと」 2024年2月7日第1刷発行(2024年2月2日発売[8][12])、ISBN 978-4-08-883819-9
    2. 「淵天vs刳雲」 2024年5月7日第1刷発行(2024年5月2日発売[13])、ISBN 978-4-08-883880-9
    3. 「闇の騎士」 2024年7月9日第1刷発行(2024年7月4日発売[14])、ISBN 978-4-08-884116-8
    4. 「対等」 2024年10月9日第1刷発行(2024年10月4日発売[15])、ISBN 978-4-08-884209-7

脚注

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  1. ^ a b c d e 父のもとで刀匠を目指していたはずが…憎しみに駆られた少年の剣戟バトルアクション”. コミックナタリー. ナターシャ (2023年9月19日). 2024年3月3日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 森朋之 (2023年10月17日). “OKAMOTO’Sオカモトショウ、「ジャンプ」期待の新作『カグラバチ』を語る 「ちゃんと応援しないといけない」”. リアルサウンド. blueprint. 2024年3月3日閲覧。
  3. ^ 外薗健「カグラバチ 第14話」『週刊少年ジャンプ』2024年3号、集英社、2023年12月18日、299頁。 
  4. ^ 【コミックス】”. X. 集英社 (2024年9月29日). 2024年9月29日閲覧。
  5. ^ ジャンプで3号連続新連載がスタート 3作家全員が手塚賞出身者&連載デビュー作”. コミックナタリー. ナターシャ (2023年9月11日). 2024年3月3日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o アナイス(ANAIS) (2023年9月27日). “ジャンプ新連載『カグラバチ』ネットミームで異例の国際的ヒット? 欧米圏の読者から大反響”. リアルサウンド. blueprint. 2024年3月3日閲覧。
  7. ^ a b c 週刊少年ジャンプ新連載をボイスコミック化! 『魔々勇々』、『カグラバチ』のボイスコミックを1月31日(水)から順次公開!”. PR TIMES (2024年1月31日). 2024年3月3日閲覧。
  8. ^ a b 堀越耕平も推薦、憎しみに駆られた少年の剣戟バトルアクション「カグラバチ」1巻”. コミックナタリー. ナターシャ (2024年2月2日). 2024年3月3日閲覧。
  9. ^ 「カグラバチ」2巻、帯にVaundyのコメント TシャツのプレゼントやLINEスタンプも”. コミックナタリー. ナターシャ (2024年5月1日). 2024年8月29日閲覧。
  10. ^ 「カグラバチ」、岸本斉史が「この才能このスタイル、漫画好きが好きなやつ」と推薦”. コミックナタリー. ナターシャ (2024年7月3日). 2024年8月29日閲覧。
  11. ^ 「次にくるマンガ大賞 2024」1位に「カグラバチ」「ふつうの軽音部」”. コミックナタリー. ナターシャ (2024年8月28日). 2024年8月29日閲覧。
  12. ^ カグラバチ 1”. 集英社. 2024年3月3日閲覧。
  13. ^ カグラバチ 2”. 集英社. 2024年5月2日閲覧。
  14. ^ カグラバチ 3”. 集英社. 2024年7月4日閲覧。
  15. ^ カグラバチ 4”. 集英社. 2024年10月4日閲覧。

外部リンク

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