オートペン(: autopen )あるいは署名器(: signing machine)とは、自動でサインを行うための装置である。オートペンは概して情緒的な理由から使用されるものであり、全ての署名を本当に手書きで行うのか、それともサインを印刷して複製するのか―人間味がないとも受けとられかねない―という問題に対する妥協の産物である。オートペンはオリジナルのサインを母型としているが[要出典]、署名の作成には筆記具を用いている。

インターナショナル・オートペン社のオートペン50(The Autopen Model 50[1])は大統領の署名を再現するためにジョン・F・ケネディ時代のホワイトハウスで多いに利用された[2]

歴史

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最初の署名複製装置を発明したのはイングランド人のジョン・アイザック・ホーキンスであり、彼は1803年にアメリカで自分の装置の特許を取得している。翌1804年には、トマス・ジェファーソンが大々的にこの装置を使い始めた[3]。当時は「ポリグラフ (複写機)英語版」(パンタグラフを簡略化した装置)という名で知られていたが、今日のオートペンと設計や操作はかなり異なるものだった[4]。現代的なオートペンとしては、1930年代に発明された「ロボット・ペン」(Robot Pen )と呼ばれる装置があり、1937年には市販され使用者のサインを記録するものとして使われ出した。記録した後は小さな部品として取り外しが可能であり、悪用を防ぐためにどこか別のところへ保管することができた。その後この機械は、必要に応じて定型の署名を大量にこなすために使われるようになったのだった[5]

2005年にアメリカの司法省は、大統領のオートペンによる法案の署名に正当性を認める法的意見の表明を行っている[6]

使用者の歴史

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ハリー・S・トルーマンは手紙に返事を送るときや小切手のサインにオートペンを使った最初のアメリカ大統領だと考えられている[7]。またジェラルド・R・フォードはオートペンの使用を公の場で認めた初めての大統領である[8]。今日では政治家本人や資金調達担当の人間が、秘書や事務員が書いた有権者への手紙にオートペンで署名をしているが、それ以外にも有名人にはサインのためにこの装置を利用している者がいる[9]。スタジオ・ファンメール(Studio Fanmail)という会社は有名人の写真にその有名人のサインを複製するためにオートペンを導入している。

ジョージ・W・ブッシュ大統領は任期中にオートペン使用の合憲性に関して司法省の見解を求め、合憲であるとの回答を得た。ただし、自身が使用することはなかった[10]

2011年5月26日、バラク・オバマ大統領は、オートペンを用いて法案に署名を行った最初の大統領となった[11]。フランスを訪れていたオバマは、愛国者法の三条項を延長する法律の署名にこのオートペンを用いることを許可している[12]。オバマ大統領は財政の崖を回避するため、休暇でハワイに滞在中の2013年1月3日にもいわゆるブッシュ減税を延長する法案にオートペンで署名している[13]。署名の最終期限が迫っていたため、他の代替手段といえば、夜を徹して彼のところへ法案を飛ばすぐらいものであった[14]。共和党幹部からは、こうしたオートペンの使用は憲法で認められている法案の署名のやり方に合致するものなのかという疑問の声が上がったが[15]、大統領によるオートペンの使用についてその妥当性が実際に法廷で争われることはなかった[16]

2022年11月にボブ・ディランが直筆サインした限定本が599ドルで販売されたが、オートペンを使ったとされ謝罪している。また、出版社は返金に応じている[17]

関連項目

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脚注

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  1. ^ Autopen Model 50
  2. ^ Hamilton, Charles, The Robot That Helped To Make A President: A Reconnaissance Into the Mysteries of John F. Kennedy's Signature, Charles Hamilton Autographs, New York, 1965.
  3. ^ Andrea Seabrook, "Obama Wields His ... Autopen?"
  4. ^ Benac, Nancy - Associated Press (27 June 2011). “Obama's Signature: Is It Real Or Is It Autopenned?”. Yahoo! News. http://news.yahoo.com/obamas-signature-real-autopenned-122724800.html 2013年1月5日閲覧。 
  5. ^ "Robot Pen Copies Handwriting From A Record" Popular Mechanics, May 1937
  6. ^ Whether The President May Sign a Bill by Directing That His Signature Be Affixed To It United States Department of Justice July 7, 2005
  7. ^ Resnick, Brian (3 January 2013). “When a Robot Signs a Bill: A Brief History of the Autopen”. National Journal. http://www.nationaljournal.com/whitehouse/when-a-robot-signs-a-bill-a-brief-history-of-the-autopen-20130103 2013年1月3日閲覧。 
  8. ^ Cheney, Lynne (August 1983). “The Autopen”. The Washingtonian. http://www.damilic.com/info/newsroom/washingtoniana-the-autopen 2013年1月1日閲覧。 
  9. ^ Brick, Krista (14 July 2011). “Rockville Company's Signature Replications Have Homeland Security Calling”. Rockville Patch. http://rockville.patch.com/articles/rockville-companys-signature-replications-have-homeland-security-calling 2013年1月5日閲覧。 
  10. ^ Kevin Cirilli (January 3, 2013), 10 facts about the ‘autopen’ Politico
  11. ^ Shear, Michael (2011年5月28日). “Making Legislative History, With Nod From Obama and Stroke an Autopen”. New York Times. http://www.nytimes.com/2011/05/28/us/politics/28sign.html 2011年5月28日閲覧。 
  12. ^ Mascaro, Lisa (2011年5月27日). “Congress votes in time to extend key Patriot Act provisions”. Los Angeles Times. http://www.latimes.com/news/nationworld/nation/la-na-patriot-act-20110527,0,7749454.story 2011年5月27日閲覧。 
  13. ^ http://abcnews.go.com/blogs/politics/2013/01/obama-signs-fiscal-cliff-bill-with-autopen/
  14. ^ Presenter: Diane Sawyer (2 January 2013). "ABC World News: Signing It Into Law". ABC World News with Diane Sawyer. 6:30 該当時間:. ABC. 2013年1月6日閲覧
  15. ^ Jackson, David (2011年6月17日). “Republicans protest Obama signing bill with autopen”. USA Today. http://content.usatoday.com/communities/theoval/post/2011/06/republican-protest-obama-bill-signing-with-autopen-/1 
  16. ^ Mark Knoller (18 November 2011), Obama uses autopen, again, to sign bill into law CBS News
  17. ^ CNNの報道記事[1]

外部リンク

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