人生の最期を見据え、身のまわりの持ち物や財産などを整理する「終活」。俳優、泉ピン子さん(77)は、一度は始めてみたけれど、「死に急ぐような気がするから、やめました」。新たな著書の題は「終活やーめた。」。代わりにピンチをチャンスに変える独自の活動「ピン活」に励みながら、健康維持のために体重コントロールを心掛けている。
泉さんが終活を始めたきっかけは令和3年、脚本家、橋田壽賀子さんが亡くなったこと。泉さんが出演したテレビドラマ「渡る世間は鬼ばかり」の脚本を手がけた橋田さんとは親子のような関係だった。
橋田さんには、プレゼントした高価なジュエリーを、「死んだら返してよ」と、ことあるごとに伝えていた。「自分の知らない人に相続されるのは嫌だったから」。頻繁に言い過ぎたのか、生前のある日、「返すから取りに来なさいよ」と橋田さんに言われたが、泉さんは「死んでからでいいよ」と応じたという。
橋田さんの死で
橋田さんの死後、贈ったものすべてが泉さんの元に返ってきた。橋田さんのお手伝いさんが、「ピン子に返す物」として言付かっていたのだ。
そんな橋田さんの人生のしまい方に触れ、終活への意欲が一気に高まった。「終活を本気でやろうと思いました。もう、すべてを整理しようと」